保育士の在職証明書|処遇改善の経験年数と書き方
公開 2026年11月1日
目次9項目
- 1保育士の在職証明書が求められる3つの場面
- 転職先の園が経験年数を確かめる
- 保育士試験の実務経験は別の様式
- 自分の子の入園は就労証明書
- 2保育士の在職証明書と処遇改善等加算の経験年数
- 平均経験年数は常勤職員全員で出す
- 通算できる施設の範囲
- 副主任保育士と職務分野別リーダーの年数
- 3保育士の在職証明書に書く項目
- 常勤かどうかは時間で書く
- 施設の種別まで書く
- 休業の期間は事実として書く
- 4保育士の在職証明書の記入例
- 常勤と非常勤が混ざる人
- 同じ法人の中で異動した人
- 5何年前の保育士の在職証明書まで書けるか
- 法定の保存は5年、当分の間は3年
- 記録が無いときに使える資料
- 閉園した園の期間
- 6前の園へ保育士の在職証明書を依頼するとき
- 本人に職歴を書き出してもらう
- 依頼文に入れること
- 依頼文の文例
- 期限は4月1日の算定から逆算する
- 7保育士試験の勤務証明書と就労証明書との違い
- 保育士試験は2年以上かつ2,880時間以上
- 就労証明書の「保育士等としての勤務実態」
- 呼び方が違っても中身で分ける
- 8保育士の在職証明書を受け取った園の確かめ方
- 履歴書と突き合わせる
- 経験年数の一覧に足して平均を出す
- 自治体へ出す書類と控え
- 9保育士の在職証明書を園で発行する決まり
- 受付簿をつける
- 書いた人と確かめた人を分ける
- 控えを残し、本人にも写しを渡す
- 本人以外からの依頼の扱い
- 退職のときに先に渡しておく
保育士の在職証明書は、職員が以前に勤めていた園で、いつからいつまで、どんな勤務の形で働いていたかを、その園が証明する書類です。実務では、4月の入職に合わせて、転職してきた保育士の前の勤務先へ証明書を依頼する場面が一般的で、年度末から年度初めに依頼と発行が集中します。
保育園では、書く側と受け取る側の両方に立ちます。辞めた職員から依頼されれば書く側になり、採用した職員の前の園には依頼する側になるためです。
ポイントはここです。保育士の在職証明書は、処遇改善等加算の経験年数を数える材料になるので、在職期間に加えて施設の種別と常勤かどうかまで書いておくと、受け取った園が迷いません。この記事では、こども家庭庁と文部科学省の通知「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和8年4月8日最終改正)と、全国保育士養成協議会・川崎市の様式をもとに、書く項目と依頼の仕方を整理します。資料は2026年10月27日に確認しました。
保育士の在職証明書が求められる3つの場面
保育士の在職証明書が求められる場面は、大きく分けて3つあります。同じ「勤めていたことの証明」でも、使う書類と様式がそれぞれ違うので、依頼を受けたらまず何に使うのかを本人に聞いておくと、書き直しが起きません。
- 転職先の処遇処遇改善等加算の経験年数を数える
- 保育士試験受験資格の実務経験を示す
- 自分の子の入園保護者として就労証明書を出す
転職先の園が経験年数を確かめる
転職先の園は、採用した保育士の経験年数を、処遇改善等加算の加算率や、副主任保育士などの要件を確かめるために使います。そのため、前の園での在職期間を証明する書類として、保育士の在職証明書の提出を求めます。通知では「職歴証明書」と呼んでいて、園によっては「在籍証明書」「勤務証明書」と呼ぶこともありますが、中身は同じです。大きな法人では、内定者に前の勤務先の在職証明書を取り寄せてもらう案内を、採用のページに載せていることもあります。採用する側にとっては、加算の申請に間に合うかどうかが気になるところなので、内定を出した時点で依頼を始める形が広がっています。
保育士試験の実務経験は別の様式
保育士資格を持たずに保育園で働く職員が、実務経験で保育士試験を受けるときにも、勤めていた施設の証明が要ります。ただし、この場合は全国保育士養成協議会の「様式8 児童福祉施設 勤務証明書」を使います。園の在職証明書では代えられないので、本人から「試験に使う」と聞いたら、協議会の様式を持ってきてもらう形にしておくと安心です。
自分の子の入園は就労証明書
保育士が自分の子を保育園に預けるときは、保護者として市区町村に就労証明書を出します。就労証明書は自治体が様式を決めていて、園は雇用主として証明する立場になります。入園の書類なので、転職先に出す在職証明書とは別に考えます。自園の職員が自園に子を預けるときは、雇用主として就労証明書を書く園と、入園を受け付ける園が同じになるので、園長以外の職員が書いた内容を園長が確かめるなど、書く人と確かめる人を分けておくと、自治体への説明がしやすくなります。
保育士の在職証明書と処遇改善等加算の経験年数
保育士の在職証明書がもっとも多く使われるのは、処遇改善等加算の経験年数の確認です。通知では、区分1(基礎分)と区分2(賃金改善分)の加算率を、職員1人当たりの平均経験年数で決めるとしています。
加算率は、平均経験年数が1年上がるごとに1%ずつ上がり、10年以上で12%になります。職員1人の経験年数が数年違うだけで、園全体の平均が区切りをまたぐことがあるので、転職してきた保育士の前の園での年数を漏れなく数えることが、園の運営費に直接つながります。
平均経験年数は常勤職員全員で出す
保育士の在職証明書で数える経験年数は、常勤職員全員の勤続年月数を合わせて、人数で割って出します。通知は、職種にかかわらず常勤職員全員を対象にしていて、6か月以上の端数は1年、6か月未満は切り捨てると定めています。算定するのは、加算を受ける年度の4月1日の時点です。年度の途中で採用した職員も、次の年度の4月1日には平均に入るので、採用が決まった時点で前の園への依頼を始めておくと、申請の時期に慌てません。
通算できる施設の範囲
前の勤務先の期間を通算できるのは、通知に挙げられた施設に限られます。保育所・認定こども園・地域型保育事業のほか、学校教育法の学校、社会福祉事業を行う施設、乳児等通園支援事業などが入ります。認可外保育施設は、認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を交付された施設や企業主導型保育施設など、条件に当てはまるものだけが対象です。病院や診療所、介護老人保健施設などの期間も入りますが、こちらは保健師・看護師・准看護師に限られているので、看護師として働いてきた職員を採用したときに確かめる形になります。社会福祉事業を行う施設には、児童養護施設や障害児入所施設、特別養護老人ホームなども含まれるため、保育以外の職歴も通算できるかどうかを、前の勤務先の種別で見分けておくと数え漏れが減ります。
副主任保育士と職務分野別リーダーの年数
区分3(質の向上分)では、副主任保育士等に概ね7年以上、職務分野別リーダー等に概ね3年以上の経験年数を求めています。経験年数の数え方は、区分1・区分2と同じ考え方によるとされています。保育士の在職証明書は、加算率と職位の要件の両方に使われるので、園で受け取ったら職員ごとに綴っておきます。
保育士の在職証明書に書く項目
保育士の在職証明書の様式は、国が決めていません。とはいえ、受け取った園が経験年数を数えるには、在職期間だけでは足りず、施設の種別と勤務の形まで分かる必要があります。
| 項目 | 書くこと | 写す元の記録 |
|---|---|---|
| 施設 | 名称・所在地・設置者 | 認可の書類 |
| 施設の種別 | 認可保育所・小規模保育事業・認可外(証明書の交付あり)など | 認可・届出の書類 |
| 本人 | 氏名・生年月日(旧姓のときは併記) | 職員名簿 |
| 在職期間 | 採用日と退職日(年月日) | 職員名簿・辞令 |
| 職種 | 保育士・保育補助・調理員・看護師など | 辞令・雇用契約書 |
| 勤務の形 | 常勤か非常勤か、月の勤務時間、1日の時間と月の日数 | 雇用契約書・出勤簿 |
| 休業の期間 | 育児休業・病気休職などの期間 | 休業の記録 |
| 証明者 | 証明日・園長名・連絡先 |
常勤かどうかは時間で書く
通知は、常勤を「就業規則で定めた常勤の時間に達している人(保育に従事する人は月120時間以上)」か「1日6時間以上かつ月20日以上勤務する人」としています。そのため、保育士の在職証明書に「常勤」とだけ書くより、月の所定の勤務時間や1日の時間と月の日数を書き添えておくと、受け取った園が通知の条件に当てはめられます。途中でパートから常勤に変わった人は、期間を分けて書きます。
施設の種別まで書く
保育士の在職証明書に施設の名称しか書かれていないと、受け取った園は、その施設が通算できる範囲に入るかを調べ直すことになります。認可保育所か、小規模保育事業か、認可外保育施設かを書き、認可外なら指導監督基準を満たす旨の証明書が交付されていたかも添えると親切です。
休業の期間は事実として書く
通知には、育児休業などの休業期間を経験年数にどう数えるかの定めが見当たりません。数え方は受け取った園と自治体が判断するので、書く側は、休業していた期間を事実として書いておくのが安全です。一方で、休業の期間を書かずに在職期間だけを書くと、受け取った園は休業が無かったものとして数えるので、あとで自治体から指摘されたときに双方が困ります。産前産後休業や病気休職も、期間が1か月を超えるものは同じように書いておくと、数え方の判断材料がそろいます。
保育士の在職証明書の記入例
保育士の在職証明書の記入例として、認可保育所に8年勤め、途中で1年の育児休業を取った保育士の場面を置いてみます。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 施設 | ○○保育園(社会福祉法人○○会)○○県○○市○○町1-2-3 |
| 施設の種別 | 認可保育所 |
| 本人 | ○○ ○○(旧姓 ○○)1993年11月2日生 |
| 在職期間 | 2018年4月1日〜2026年3月31日 |
| 職種 | 保育士(2023年4月から職務分野別リーダー・乳児保育) |
| 勤務の形 | 常勤。所定の勤務時間 月160時間(1日8時間・月20日) |
| 休業の期間 | 2022年4月1日〜2023年3月31日 育児休業 |
| 証明日・証明者 | 2026年4月10日 ○○保育園 園長 ○○ ○○ |
保育士の在職証明書の記入例では、職位の発令と分野まで書いておくのがポイントです。転職先が区分3の職務分野別リーダー等に充てるかどうかを決めるとき、前の園での担当分野と研修の修了が手がかりになるためです。
研修の修了そのものは、保育士等キャリアアップ研修の修了証で本人が示すので、在職証明書には職位と担当分野だけを書き、修了証の写しは本人から転職先に渡してもらう形が一般的です。旧姓で働いていた期間がある人は、氏名の欄に旧姓を併記しておくと、修了証や資格の登録証と名前が違っていても同じ人だと分かります。
- 1 依頼を受ける 用途と提出先を聞く
- 2 記録を出す 職員名簿・辞令・出勤簿
- 3 書く 期間・種別・勤務の形
- 4 確かめる 別の職員が記録と照合
- 5 送る 控えを残して郵送
常勤と非常勤が混ざる人
途中で勤務の形が変わった人は、期間ごとに行を分けて書きます。たとえば「2018年4月1日〜2020年3月31日 非常勤(1日5時間・月16日)」「2020年4月1日〜2026年3月31日 常勤(月160時間)」のように書くと、通知の常勤の条件に当てはまる期間が一目で分かります。そのうえで、非常勤の期間をどう扱うかは通知に書かれていないので、受け取った園と自治体の判断に任せる形になります。
同じ法人の中で異動した人
同じ法人の中で別の園に異動した人は、園ごとに期間を分けて書きます。法人で1枚にまとめる場合も、施設の名称と種別を期間ごとに書いておくと、認可保育所と認可外の期間が混ざっていても数え分けられます。
何年前の保育士の在職証明書まで書けるか
保育士の在職証明書は、何年前の勤務でも書けるかと聞かれることがよくあります。処遇改善等加算の経験年数は、通知に挙げられた施設での勤続年月数を通算するので、年数の上限はありません。
記録が残っている期間
- 職員名簿・辞令から写せる
- 勤務の形も出勤簿で確かめられる
- 園が保育士の在職証明書を書く
記録が残っていない期間
- 法定の保存期間を過ぎて処分済み
- 閉園・法人の解散で問い合わせ先が無い
- 雇用保険・年金の記録で確かめる
法定の保存は5年、当分の間は3年
労働基準法第109条は、労働者名簿や賃金台帳など労働関係の重要な書類を5年間保存するよう定めていて、経過措置で当分の間は3年とされています。そのため、それより古い期間は、前の園に記録が残っていないことがあります。職員名簿を退職後も長く残しておく園では、10年以上前の保育士の在職証明書も書けるので、自園の保存の決まりを確かめておくと答えやすくなります。
記録が無いときに使える資料
通知は、勤続年月数を確かめる資料として、施設の職歴証明書のほかに、雇用保険の加入履歴や年金の加入記録を挙げています。職歴証明書によらずにこれらから推し量る場合は、労働条件通知書もあわせて確かめることが考えられる、としています。公立施設に勤めていた期間は、辞令の写しで代えることもできると考えられる、とされています。
閉園した園の期間
閉園した園や、法人がなくなった園の期間は、問い合わせる先がありません。この場合も、雇用保険の加入履歴や年金の加入記録で期間を確かめ、労働条件通知書が手元にあれば添えてもらう形になります。最終的に認めるかどうかは加算の認定をする自治体の判断なので、迷うときは早めに所管の課に聞いておくと、4月の申請に間に合います。
前の園へ保育士の在職証明書を依頼するとき
保育士の在職証明書は、転職してきた職員本人が前の園に頼む形と、採用した園が直接依頼する形の2つがあります。どちらの場合も、依頼の文面と返信用の封筒をそろえておくと、前の園の手間が減って返事が早くなります。
本人に職歴を書き出してもらう
依頼する前に、採用した職員に、これまでの勤務先・期間・勤務の形を書き出してもらいます。履歴書の職歴と保育士の在職証明書の期間がずれると、確かめ直しの往復が起きるので、非常勤の期間や育児休業の期間もこの時点で聞いておきます。
依頼文に入れること
依頼文には、使い道(処遇改善等加算の経験年数の確認)、証明してほしい項目(在職期間・施設の種別・勤務の形・休業の期間)、様式の有無、返送の期限を書きます。「処遇改善等加算の経験年数の確認に使いますので、在職期間と勤務の形をご証明いただけますでしょうか」と一文で伝えると、前の園も何を書けばよいかが分かります。自園の様式を同封するか、前の園の様式でよいかも書き添えておきます。
依頼文の文例
採用した園から前の園へ直接依頼するときの文例を置いておきます。前の園の担当者が、読んだだけで何をどこまで書けばよいかが分かるように、用途と項目と期限を一通の中にそろえています。
○○保育園 園長 ○○ ○○ 様
いつもお世話になっております。○○保育園 園長の○○です。
このたび、貴園に勤務されていた○○ ○○さん(旧姓 ○○)を、令和8年4月1日付で当園の保育士として採用いたしました。
つきましては、処遇改善等加算の経験年数の確認に用いるため、○○さんの貴園での在職期間について、ご証明をお願いできますでしょうか。
ご証明いただきたい事項は、在職期間(採用日・退職日)、施設の種別、職種、勤務の形(常勤・非常勤の別と月の勤務時間)、育児休業などの休業の期間です。
当園の様式を同封いたしますが、貴園の様式でも差し支えございません。
お手数をおかけしますが、同封の返信用封筒にて、5月15日までにご返送いただけますと幸いです。
なお、○○さんご本人には、貴園へ依頼することをお伝えし、了承を得ております。
本人の了承を得ていることを書き添えるのは、前の園が個人の情報を第三者に出してよいかを判断できるようにするためです。本人が直接依頼する場合は、採用した園の名前と用途を同じように書き、署名を本人の名前にします。
期限は4月1日の算定から逆算する
平均経験年数は加算を受ける年度の4月1日の時点で算定するので、自治体への加算認定の申請に間に合うよう、返送の期限を決めておきます。前の園も年度末で忙しい時期なので、期限には2〜3週間の余裕を持たせると、催促の連絡をせずに済みます。
保育士試験の勤務証明書と就労証明書との違い
保育士の在職証明書と取り違えやすい書類が、保育士試験の勤務証明書と、入園の就労証明書です。3つとも園が証明する書類ですが、提出先と様式が違うので、受付の時点で分けておきます。
| 書類 | 提出先 | 様式 | 書くこと |
|---|---|---|---|
| 保育士の在職証明書 | 転職先の園 | 決まりは無い(園や法人の様式) | 在職期間・施設の種別・勤務の形 |
| 様式8 児童福祉施設 勤務証明書 | 全国保育士養成協議会 | 協議会の様式 | 勤務期間と勤務時間数 |
| 就労証明書 | 市区町村(保護者が出す) | 自治体の様式(国の標準的な様式が元) | 就労時間・実績・休業の予定など |
保育士試験は2年以上かつ2,880時間以上
全国保育士養成協議会の受験資格では、児童福祉施設で2年以上かつ総勤務時間数2,880時間以上、児童の保護に従事したことなどが条件になっています。勤務時間数を数えるので、出勤簿から実際の時間を拾う作業が要ります。たとえば1日6時間・月20日で働く保育補助の職員なら、月120時間で2年間の合計は2,880時間ちょうどになり、休んだ日があると届かないので、見込みではなく出勤簿の実績で数えます。受験資格の中には、試験の時点で1年以上勤め、試験から1年以内に2年以上・2,880時間以上に達する見込みで受けられる形もあり、見込みが満たされないと試験の結果が無効になるとされています。そのため、保育士試験の勤務証明書は、在職証明書よりも数字の確かさが問われる書類だと考えて、出勤簿を写した集計表を控えに付けておくと安心です。提出する前に、協議会が出している「勤務証明書の注意事項」を本人と一緒に確かめておくと、書き直しになりません。
就労証明書の「保育士等としての勤務実態」
保育士が自分の子の入園を申し込むときは、自治体の就労証明書を園が書きます。川崎市の令和8年度の記入例では、国の標準的な書式をもとにした様式に「保育士等としての勤務実態の有無」を選ぶ欄があります。保育士として働く保護者をどう扱うかは自治体の利用調整の基準で決まるので、就労証明書は自治体の記入例のとおりに書く形が安全です。
呼び方が違っても中身で分ける
園によっては、保育士の在職証明書を「職歴証明書」「在籍証明書」と呼び、就労証明書を「勤務証明書」と呼ぶこともあります。呼び方で分けると取り違えるので、提出先がどこかで分けておくと迷いません。
保育士の在職証明書を受け取った園の確かめ方
保育士の在職証明書を受け取った園は、その期間を職員の経験年数に足して、園全体の平均経験年数を出し直します。受け取って綴じるだけだと、加算認定の申請のときに数え漏れが起きるので、届いた日に一覧へ転記しておく形が一般的です。
履歴書と突き合わせる
届いた保育士の在職証明書は、まず本人の履歴書と期間を突き合わせます。月単位でずれているときは、採用日と退職日のどちらが違うのかを本人に確かめ、証明書の日付を正として一覧に書きます。ずれが大きいときは、非常勤の期間や別の園への異動を履歴書に書き落としていることが多いので、前の園に問い合わせる前に本人に聞くほうが早く片づきます。
経験年数の一覧に足して平均を出す
平均経験年数の数え方を、常勤職員11人の園で試してみます。もともといた10人の勤続年月数の合計が989か月で、4月に採用した保育士の前の園での期間を数えないと、989か月を11人で割って約89.9か月、つまり7年5か月あまりで、6か月未満の端数を切り捨てて7年になります。同じ保育士の在職証明書で前の園の6年(72か月)を足すと、1,061か月を11人で割って約96.5か月、8年の区分に上がります。区分1の加算率は7年以上8年未満で9%、8年以上9年未満で10%なので、証明書が1枚届くかどうかで、園の1年分の加算率が変わることがあります。
自治体へ出す書類と控え
自治体に出す加算認定の申請書には、職員ごとの職歴を書く欄があり、通知もこの申請書に書かれた職歴を確かめる資料として職歴証明書を挙げています。そのため、受け取った保育士の在職証明書は、申請書の写しと同じ綴りに職員ごとに入れておくと、自治体から確認を求められたときにすぐ出せます。指導監査で経験年数の根拠を聞かれることもあるので、加算の年度が終わったあとも、園の文書の保存の決まりに沿って残しておきます。
保育士の在職証明書を園で発行する決まり
保育士の在職証明書は、年度末に依頼が重なるので、園の中で受け付けから発送までの決まりを作っておくと、担当が替わっても同じ形で出せます。
受付簿をつける
依頼を受けた日、依頼した人、用途、提出先、期限、発送日を受付簿に書いておきます。同じ人から翌年も依頼が来ることがあるので、受付簿があれば前回と同じ書き方でそろえられます。
書いた人と確かめた人を分ける
保育士の在職証明書は、受け取った園が加算の申請に使う書類です。書いた職員とは別の職員が、職員名簿と辞令の記録と照らして確かめてから出すと、日付の書き間違いを防げます。事実と違う内容を書くと私文書の偽造にあたり得るので、本人に頼まれても、記録に無い期間や勤務の形は書かない決まりにしておきます。
控えを残し、本人にも写しを渡す
発行した保育士の在職証明書は、控えを園に残します。本人にも写しを渡しておくと、次に転職するときに職歴を書き出す材料になり、前の園に何度も依頼せずに済みます。
本人以外からの依頼の扱い
保育士の在職証明書は、採用した園から本人の了承なしに依頼が届くこともあります。在職期間や勤務の形は個人の情報なので、本人の了承が確かめられないときは、本人に連絡して了承を得てから出す決まりにしておくと、あとで行き違いになりません。退職した職員の連絡先が分からないときは、依頼してきた園に、本人から一言連絡をもらうよう頼む形が穏やかです。
退職のときに先に渡しておく
年度末に退職する保育士には、退職の手続きと一緒に保育士の在職証明書を渡しておく園もあります。次の勤務先が決まっていれば、その園の様式を本人に持ってきてもらい、最後の出勤日までに書いておくと、4月に入ってから依頼が重なることを避けられます。
様式は在職証明書テンプレートからダウンロードできます。退職した事実を証明する書類は退職証明書、勤務の記録は出勤簿にまとめています。

よくある質問
保育士の在職証明書は何年前の分まで書いてもらえますか。
処遇改善等加算の経験年数には、通知に挙げられた施設での勤続年月数を年数の上限なく通算します。ただし、労働基準法第109条が求める記録の保存は5年(当分の間は3年)なので、それより古い期間は前の園に記録が残っていないことがあります。その場合は、雇用保険の加入履歴や年金の加入記録で確かめる方法が通知に示されています。
パートの保育士にも在職証明書は要りますか。
処遇改善等加算の平均経験年数に入るのは常勤職員です。通知では、就業規則で定めた常勤の時間(保育に従事する人は月120時間以上)に達している人か、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する人を常勤として数えます。パートでもこの条件に当てはまる期間があれば、その期間の証明を求められることがあります。
保育士試験の受験に使う勤務証明書と同じものですか。
別の書類です。保育士試験の実務経験は、全国保育士養成協議会の「様式8 児童福祉施設 勤務証明書」で証明します。勤務期間と勤務時間数を施設が書く様式なので、転職先に出す在職証明書では代えられません。