保育の事故防止マニュアル|場面ごとの決めごと
公開 2026年9月4日
目次8項目
- 1保育の事故防止マニュアルとは何を決める書面か
- その場で読める形にする
- 職員が代わっても続く
- 訓練の元になる
- 2保育の事故防止マニュアルで押さえる場面
- 睡眠中の決めごとを書く
- 食事と誤嚥の決めごとを書く
- プールと水遊びの決めごとを書く
- 3保育の事故防止マニュアルに書く役割
- 職員の数に合わせて決める
- 連絡の経路を1枚にする
- 記録する人を決める
- 4保育の事故防止マニュアルを訓練で確かめる
- 場面を変えて年に数回行う
- 連絡が通じるかを確かめる
- 見つかった点をマニュアルに戻す
- 5保育の事故防止マニュアルを職員に届ける
- 場面ごとに抜き出して貼る
- 配置が決まった時点で渡す
- 年に1回読み合わせる
- 6保育の事故防止マニュアルと園外の活動
- 経路の下見をして記録に残す
- 引率の人数と立ち位置を決める
- 持ち物を一覧にする
- 人数を数える節目を決める
- 急な天候の変化に備える
- 7保育の事故防止マニュアルを見直すとき
- 事故のあとに見直す
- 園の作りが変わったら見直す
- 古い版を回収する
- マニュアルの目次を1枚にする
- 8保育の事故防止マニュアルと他の記録のつなぎ方
- 決めごとを記録の様式に落とす
- ヒヤリハットから見直す
- 記録の抜けを見て体制を確かめる
冊子は事務室の棚にあって、全職員が入職のときに読んでいる。それでも、その場面になると誰も内容を思い出せません。
一般には、書いてあるだけでは動けないとされています。読んだ記憶と、その場で動けることは別のものです。
とはいえ、読ませ方を工夫しても限りがあります。実際に動いてみると、書いていなかった部分まで出てきます。
ポイントはここです。保育の事故防止マニュアルは、訓練で確かめることで動ける形になります。
ここでは、何を決める書面なのか、押さえる場面、役割の決め方、そして訓練での確かめ方までを順に整理します。
保育の事故防止マニュアルとは何を決める書面か
保育の事故防止マニュアルは、事故を防ぐことと起きたときの動きを決める書面です。決める中身は、3つに分かれます。
そのうえで、3つとも場面ごとに変わります。睡眠中と、水遊びと、園外の活動では決めることが違います。
- 防ぐ場面ごとの決めごと
- 気づく確認の間隔と方法
- 動く起きたときの役割
3つがそろって、1つの場面の決めごとになります。そのうえで、どれか1つだけでは足りません。
その場で読める形にする
厚い冊子は、その場では開けません。必要な部分を探すのに、時間がかかります。
場面ごとに1枚にすると、その場で読めます。
そのうえで、その場所に貼る形にします。
職員が代わっても続く
決めごとが人の記憶にしかないと、代わったときに消えます。書いてあれば、次の人にも渡せます。
そのうえで、なぜそう決めたかも書いておきます。理由が分からないと、勝手に変えられます。
過去の事故から決まった部分があります。
その経緯が伝わると、守られます。
訓練の元になる
訓練は、書いてある内容を確かめる場です。書いていないことは、確かめようがありません。
そのうえで、訓練で見つかった点を書き足します。書面と訓練が、互いに補い合います。
どちらか一方だけでは、動ける形になりません。
年に何回か、場面を変えて行います。
保育の事故防止マニュアルで押さえる場面
保育の事故防止マニュアルでは、押さえる場面が決まっています。重い結果につながりやすい場面から並べます。
上の4つは、特に重い結果につながります。そのうえで、どの場面も日常の中にあります。
| 場面 | 決めること | 記録の様式 |
|---|---|---|
| 睡眠中 | 確認の間隔と寝る向き | 午睡チェック表 |
| 食事 | 形態と切り方と見守り | アレルギー対応確認表 |
| アレルギー | 除去の確認と配膳の流れ | 対応マニュアル |
| プールと水遊び | 監視の専任と人数 | 実施の記録 |
| 園外の活動 | 経路と人数の確認 | 散歩の記録 |
| 遊具 | 高さと下の状態 | 点検の記録 |
| 送り迎え | 引き渡しの確認 | 登降園記録簿 |
右の列が、決めごとを落とす記録の様式です。そのうえで、様式が無いと決めごとが動きません。
睡眠中の決めごとを書く
確認の間隔、寝る向き、寝具、明るさ。睡眠中に決めることは、いくつもあります。
そのうえで、記録の様式に落とします。午睡チェック表に、間隔を印刷しておきます。
見る人の配置も、決めておきます。
休憩の時間と重ならないように組みます。
食事と誤嚥の決めごとを書く
食べ物の形態、切り方の大きさ、見守りの位置。年齢によって、決めることが変わります。
見守りの位置を決めると、目が届きます。
そのうえで、誤嚥しやすい食品も一覧にします。
プールと水遊びの決めごとを書く
監視だけを行う人を、別に置きます。一緒に遊びながら見る形だと、見きれません。
そのうえで、人数と水の深さも決めます。浅くても、事故は起きます。
始める前と終わった後に、人数を数えます。
水を張る時間と抜く時間も、決めておきます。
保育の事故防止マニュアルに書く役割
保育の事故防止マニュアルには、起きたときの役割を書きます。その場で決めると、時間がかかります。
- 1 子どものそばにいる人 対応を続ける
- 2 人を呼ぶ人 応援を集める
- 3 救急に連絡する人 状況を伝える
- 4 他の子どもを見る人 別の場所へ移す
- 5 保護者に連絡する人 園長か担任
- 6 記録する人 時刻と対応を残す
6つとも、同時に要る役割です。そのうえで、人数が足りない場合は優先を決めます。
職員の数に合わせて決める
6人そろわない時間帯があります。朝の早い時間、夕方の遅い時間。
そのうえで、その時間帯の役割を別に決めます。1人で2つを兼ねる形になります。
どれを先にするかも、決めておきます。
子どものそばにいることと、救急への連絡が先になります。
連絡の経路を1枚にする
救急、保護者、園長、自治体、嘱託医。連絡の先と順序を、1枚にまとめます。
連絡の経路を1枚にすると、初動が遅れません。
そのうえで、電話のそばに貼っておきます。
記録する人を決める
その場では、記録が後回しになります。時間が経つと、経過が分からなくなります。
そのうえで、記録する人を決めておきます。時刻と、行ったことを書きます。
対応している人は、記録できません。
別の人が担う形にします。
保育の事故防止マニュアルを訓練で確かめる
保育の事故防止マニュアルは、訓練で確かめて初めて動ける形になります。確かめた結果は、書面に戻します。
- 場面を決めて訓練したか はい次へ いいえ場面を選ぶ
- 役割どおりに動けたか はい次へ いいえ役割を見直す
- 連絡が通じたか はい次へ いいえ経路を確かめる
- 見つかった点を反映したか はい回る形になっている いいえマニュアルを直す
場面を決めて動き、見つかった点をマニュアルに戻す
最後の反映まで進むと、次に生きます。そのうえで、そこで止まると毎回同じ課題が出ます。
場面を変えて年に数回行う
同じ場面ばかりだと、他の場面が確かめられません。睡眠中、食事中、水遊び、園外の活動。
そのうえで、年間の予定に入れます。避難訓練とは別に、時間を取ります。
短い時間でも、動いてみると分かります。
役割を交代して行うと、全員が経験できます。
連絡が通じるかを確かめる
救急に何を伝えるかを、決めておきます。場所、状況、子どもの年齢と様子。
伝える内容を紙にすると、その場で読めます。
そのうえで、実際に読み上げてみます。
見つかった点をマニュアルに戻す
訓練で動けなかった部分を、書面に反映します。記録に書いただけでは、書面は変わりません。
そのうえで、変えた部分を職員に伝えます。変わったことを知らないままだと、動きが分かれます。
古い版が残っていないかも、確かめます。
差し替えた後は、回収します。
保育の事故防止マニュアルを職員に届ける
保育の事故防止マニュアルは、届け方で結果が変わります。冊子を1冊置くだけでは、届きません。
届いている形
- 場面ごとに1枚
- その場所に貼る
- 配置時に渡す
- 訓練で確かめる
届いていない形
- 冊子1冊だけ
- 事務室の棚に置く
- 全員に読ませて終わり
- 訓練をしない
左は、必要なときに読める形です。そのうえで、右は読んだ記憶に頼る形になります。
場面ごとに抜き出して貼る
睡眠中の決めごとは、午睡をする部屋に。プールの決めごとは、プールの近くに。
その場所に貼ると、必要なときに読めます。
そのうえで、短くまとめた形にします。
配置が決まった時点で渡す
担当するクラスや場面が決まったら、その部分を渡します。全体を渡すより、読まれます。
そのうえで、内容を説明します。渡すだけでは、読まれないことがあります。
途中で配置が変わったときも、同じ扱いにします。
臨時で入る人にも、その日の分を伝えます。
年に1回読み合わせる
全職員で、内容を読み合わせます。一度伝えただけでは、時間とともに薄れます。
そのうえで、変わった部分を重点的に伝えます。訓練の後に行うと、つながります。
会議の議題にすると、時間が取れます。
読み合わせた記録も、残しておきます。
保育の事故防止マニュアルと園外の活動
保育の事故防止マニュアルでは、園外の活動を別に扱います。園の中とは、決めることが違います。
- 1 経路の下見 危ない場所を確かめる
- 2 人数と配置 引率の人数と立ち位置
- 3 持ち物 連絡先と救急の用品
- 4 出発前の確認 人数を数える
- 5 途中の確認 節目ごとに数える
- 6 戻ったときの確認 もう一度数える
最初の下見が、いちばん省かれます。そのうえで、人数の確認は複数回行います。
経路の下見をして記録に残す
行く前に、大人だけで歩いてみます。車の通り、交差点、工事の場所。
そのうえで、記録に残します。次に行くときの材料になります。
危ない場所には、印を付けておきます。
季節や時間帯で、状況が変わることもあります。
引率の人数と立ち位置を決める
前と後ろ、道路側と内側。立ち位置を決めておきます。
そのうえで、人数の目安も決めます。子どもの年齢と人数で変わります。
足りない場合は、行く場所を変えます。
無理に行く形にしないようにします。
持ち物を一覧にする
連絡先の一覧、救急の用品、水、名簿。持ち物を決めておきます。
そのうえで、一覧にして掲示します。出発前に、確かめられます。
携帯する電話も、忘れないようにします。
充電の状態も、確かめておきます。
人数を数える節目を決める
出発前、目的地に着いたとき、帰る前、戻ったとき。数える場面を決めておきます。
そのうえで、呼名で確かめます。頭数だけだと、誰がいないか分かりません。
移動の途中でも、節目ごとに数えます。
道路を渡った後、公園を出るとき。
急な天候の変化に備える
出発したときは晴れていても、途中で変わることがあります。戻る判断の基準を、決めておきます。
そのうえで、園との連絡の方法も決めます。判断を1人で抱えない形にします。
雨宿りできる場所も、下見のときに確かめます。
暑い時期は、日陰と水分も考えます。
そのうえで、行く時間帯を選びます。暑い時間を避ける形にします。
気温の基準を決めている園もあります。
体調がすぐれない子どもがいる場合の扱いも、決めておきます。
保育の事故防止マニュアルを見直すとき
保育の事故防止マニュアルは、いくつかの場面で見直します。それぞれ、直す範囲が変わります。
上の3つは、その都度動く見直しです。そのうえで、年に1回の全体の見直しを予定に入れます。
事故のあとに見直す
事故が起きたとき、なぜ防げなかったかを掘ります。決めごとが無かったのか、あっても動けなかったのか。
事故のあとに見直すと、同じ場面が減ります。
そのうえで、他の場面でも同じことが起きないかを見ます。
園の作りが変わったら見直す
改修や、部屋の配置の変更。避難の経路や、見る位置が変わります。
そのうえで、書面もあわせて直します。古い図面のままになっていることがあります。
新しい遊具を入れたときも、同じです。
決めごとを、その時点で追加します。
古い版を回収する
差し替えた後、古い版が残っていることがあります。違う内容で動くことになります。
そのうえで、貼ってあるものも差し替えます。壁に古いものが残りやすくなります。
版数と日付を、入れておきます。
どれが最新かが、分かる形になります。
マニュアルの目次を1枚にする
厚い書面は、どこに何があるか分かりません。目次を1枚にして、前に置きます。
そのうえで、場面から探せる形にします。「睡眠中」「食事」「園外」と並べます。
その場で開く場面を考えて、並べます。
よく使う部分を、前にします。
電子で持っている場合は、探せる形にします。名前の付け方をそろえておきます。
そのうえで、紙の控えも置いておきます。電気が止まると、開けません。
保育の事故防止マニュアルと他の記録のつなぎ方
保育の事故防止マニュアルの決めごとは、記録の様式に落ちて初めて動きます。書面だけでは、日々の作業になりません。
- 睡眠午睡チェック表
- 食事アレルギー対応確認表
- 危険ヒヤリハット報告書
3つとも、日々使う様式です。そのうえで、様式の中に決めごとが入っています。
決めごとを記録の様式に落とす
確認の間隔をマニュアルに書いても、様式に無ければ動きません。様式に印刷しておきます。
そのうえで、様式を見れば決めごとが分かる形にします。書面を開かなくて済みます。
決めごとが変わったら、様式も直します。
片方だけ直すと、食い違います。
ヒヤリハットから見直す
ヒヤリハットの報告が、決めごとの穴を示します。同じ場面で繰り返し出ているなら、そこに問題があります。
そのうえで、決めごとを足します。決めていなかった場面が見つかります。
月ごとに集計して、見る形にします。
事故が起きる前に、手が打てます。
記録の抜けを見て体制を確かめる
記録が書かれていないとき、書き忘れとは限りません。書ける状態でなかったことがあります。
記録の抜けを見ると、体制の問題が見つかります。
そのうえで、責める形にすると後から埋められます。実態が、見えなくなります。
様式は事故防止・事故発生時対応マニュアルテンプレートからダウンロードできます。記録は午睡チェック表、事故報告書にまとめています。
よくある質問
マニュアルはどの場面を押さえればよいですか。
国のガイドラインでは、重大な事故が起きやすい場面として睡眠中、プールや水遊び、食事の場面が挙げられています。園外の活動もあわせて押さえる形が広く使われています。園の作りや活動に合わせて、場面を足していきます。
マニュアルを作っただけでは足りませんか。
書いた内容が実際に動くかを、訓練で確かめる形が求められます。役割を決めても、動いてみると抜けが見つかります。年に数回、場面ごとに確かめて記録に残すと、実際に動ける状態になります。
職員が代わったときはどうしますか。
配置が決まった時点で、その場面の決めごとを伝える形になります。マニュアル全体を読ませるだけでは身に付きません。担当する場面の部分を抜き出して渡し、訓練で確かめると動けるようになります。