保育の避難訓練記録|毎月の訓練と避難確保計画

公開 2026年9月4日

目次8項目

毎月同じ時間に、同じ経路で、同じ想定で行う。子どもは慣れますが、実際の場面とは違う動きになります。

一般には、想定を変えて行う形が求められています。それでも、毎月のことなので前の月の記録を写すほうが早く済みます。

とはいえ、変える軸はいくつもあります。時間帯や出火の場所を変えるだけで、確かめられることが変わります。

ポイントはここです。保育の避難訓練は、想定を変えて行うことで実際に動ける形になります

ここでは、何を確かめる訓練なのか、想定の変え方、記録に書く項目、そして年間の組み方までを順に整理します。

保育の避難訓練とは何を確かめる訓練か

保育の避難訓練は、決めた動きが実際にできるかを確かめる場です。確かめる中身は、大きく3つに分かれます。

そのうえで、3つとも計画に書いてあるだけでは分かりません。動いてみると、書いていなかった部分が出ます。

  • 動けるか経路と運び方
  • 数えられるか人数の確認
  • 伝わるか連絡と引き渡し
避難訓練は、動き・人数・連絡の3つを確かめる

3つのどれかが欠けると、避難が完了しません。そのうえで、真ん中の人数の確認が省かれやすくなります。

決めた動きができるかを見る

計画では30秒で外に出られることになっている。実際にやってみると、倍の時間がかかります。

そのうえで、どこで時間がかかったかが分かります。靴を履く、扉が開かない、人数が足りない。

計画のほうを直す材料になります。

計画どおりに動けたかを見る場と考えます。

職員の役割を身に付ける

誰が何をするかを、体で覚えます。書いてあるだけでは、その場で思い出せません。

そのうえで、役割を交代して行います。決まった人が不在のこともあります。

何度か行うと、動きが早くなります。

新しく入った職員には、特に必要です。

子どもが動きを覚える

放送や合図があったら、どうするか。繰り返すと、子どもも動けるようになります。

そのうえで、年齢によって伝え方を変えます。低い年齢では、抱えて運ぶことになります。

怖がらせない形で伝えます。

訓練であることを、先に伝えておく場合もあります。

保育の避難訓練の想定をどう変えるか

保育の避難訓練は、いくつかの軸で想定を変えられます。毎回1つだけ変える形でも、積み上がります。

  • 災害の種類 5火災・地震・水害
  • 時間帯 5午睡中や夕方
  • 出火の場所 4経路が変わる
  • 職員の人数 4少ない時間帯
  • 予告の有無 3知らせずに行う
変える軸と、効きやすさの目安

上の2つが、いちばん大きく変わります。そのうえで、下に行くほど準備が要ります。

想定変わること確かめる点
火災経路と煙出火の場所で経路が変わる
地震落下物と揺れまず身を守る動き
水害上の階へ避難垂直の避難ができるか
午睡中起こして運ぶ時間がかかる
夕方職員が少ない1人で何人運べるか
屋外の活動中園に戻れないその場での避難
予告なしその場の判断動けるかどうか

右の列が、その想定で確かめられることです。そのうえで、想定によって出てくる課題が違います。

午睡中の想定を入れる

眠っている子どもを起こして、避難させます。起きているときとは、かかる時間が違います。

そのうえで、靴も履いていません。どこで履くか、履かせずに運ぶか。

やってみると、決めていなかった部分が出ます。

年に1回か2回は、この想定を入れます。

職員が少ない時間帯で行う

朝の早い時間や、夕方の遅い時間。職員の数が少なくなります。

少ない人数で確かめると、無理な計画が分かります

そのうえで、1人で何人を運べるかも分かります。

予告なしの訓練を年に1回入れる

予告があると、準備してから始まります。実際の場面では、準備の時間がありません。

そのうえで、職員には事前に伝える形もあります。子どもには知らせずに行います。

その場の判断が要る場面が出ます。

安全に配慮したうえで、行う範囲を決めます。

保育の避難訓練記録に書く項目

保育の避難訓練記録は、想定から気づいた点までを1枚で残します。次につながる部分は、最後の欄になります。

  1. 1 想定 災害の種類と場所
  2. 2 日時 実施した日と時刻
  3. 3 参加した人数 子どもと職員
  4. 4 避難の経路 使った経路
  5. 5 かかった時間 開始から完了まで
  6. 6 気づいた点 動けなかった部分
想定から気づいた点までを1枚で残す

前半は、行ったことの記録です。そのうえで、後半が次に生きる部分になります。

かかった時間を測る

合図から避難の完了までを、時計で測ります。感覚では、実際より短く感じます。

そのうえで、記録に残すと比べられます。前の回より早くなったか、遅くなったか。

想定が違えば、時間も違います。

同じ想定どうしで比べる形にします。

動けなかった部分を残す

うまくいった部分だけを書くと、次につながりません。できなかった部分を書きます。

動けなかった部分を残すと、次の訓練で確かめられます

そのうえで、なぜできなかったかも書きます。

書きにくい部分ですが、ここが記録の中心になります。

参加できなかった職員を残す

休みだった職員、他の対応で参加できなかった職員。その人たちは、その回の訓練を経験していません。

そのうえで、後から内容を伝えます。記録を渡すか、口頭で説明します。

参加できていない回が続く人がいないかも、確かめます。

年間を通して見ると、偏りが分かります。

保育の避難訓練で人数をどう確認するか

保育の避難訓練で、人数の確認は外せません。避難先で、全員がいることを確かめます。

  1. クラスごとの名簿を持ち出したか はい次へ いいえ持ち出す担当を決める
  2. 避難先で名前を呼んで数えたか はい次へ いいえ呼名で確かめる
  3. 在園の人数と合っているか はい次へ いいえ園内を確かめる
  4. 確認した結果を記録したか はい確認が閉じた形 いいえ数と時刻を書く

名簿を持ち出し、呼名で数え、在園の人数と突き合わせる

人数を確認する順序

最初の名簿が無いと、後が進みません。そのうえで、持ち出す担当を決めておきます。

名簿を持ち出す担当を決める

避難のときに、名簿を持ち出します。決めていないと、誰も持たずに出ます。

そのうえで、置き場所も決めます。すぐ取れる場所に、まとめて置きます。

その日の出欠を反映した形にしておきます。

前日の名簿だと、人数が合いません。

呼名で数える

頭数を数えるだけだと、誰がいないか分かりません。名前を呼んで、返事か姿を確かめます。

呼名で確かめると、誰がいないかが分かります

そのうえで、低い年齢では職員が確かめます。

数が合わないときの動きを決める

1人足りないと分かったとき、何をするか。その場で決めると、時間がかかります。

そのうえで、誰が園内を確かめに戻るかを決めます。1人では戻らない形にします。

避難先に残る人の体制も、決めておきます。

実際の場面では、戻れない判断もあります。

保育の避難訓練と保護者への引き渡し

保育の避難訓練は、避難して終わりではありません。保護者に引き渡すまでが、一続きになります。

決めておくこと

  • 避難先を保護者に伝える
  • 連絡の方法
  • 引き渡しの場所と方法
  • 帰れない場合の対応

決めていないと起きること

  • 保護者が園に来てしまう
  • 連絡が通じない
  • 引き渡しの記録が残らない
  • 園に残る子どもの体制がない
避難した後の帰り方を決めておくかどうかで分かれる

左は事前に決められることです。そのうえで、右は決めていないときに実際に起きます。

避難先を保護者に伝えておく

園から避難した後、どこにいるかを保護者が知らないと探すことになります。避難先を、事前に伝えておきます。

そのうえで、入園のときに渡す資料に入れます。年に1回、確かめの意味で配り直します。

複数の避難先がある場合は、順序も伝えます。

掲示する場所も、決めておきます。

連絡の方法を複数持つ

電話が通じないことがあります。1つの方法だけだと、そこで切れます。

連絡の方法を複数持つと、通じる経路が残ります

そのうえで、訓練のときに実際に送ってみます。

引き渡しの記録を残す形にする

誰に、いつ渡したか。記録が無いと、後から確かめられません。

そのうえで、引き渡す相手も決めておきます。保護者以外の人が来ることがあります。

名簿に、引き渡してよい人を書いておきます。

記録の様式も、あらかじめ用意しておきます。

保育の避難確保計画が必要になる園

保育の避難訓練とは別に、避難確保計画が要る園があります。浸水や土砂災害の区域にある場合です。

  1. 1 ハザードマップ 区域に入るか確かめる
  2. 2 所管の課に確認 対象かどうか
  3. 3 計画の作成 定められた項目で
  4. 4 報告 自治体へ提出
  5. 5 訓練 計画にもとづいて行う
  6. 6 見直し 訓練の結果を反映
ハザードマップの確認から訓練と見直しまでを進める

最初の確認から始まります。そのうえで、対象なら計画の作成と報告が要ります。

自園が区域に入るかを確かめる

自治体のハザードマップで、園の場所を確かめます。浸水想定区域か、土砂災害の警戒区域か。

区域に入るかを確かめると、対象かどうかが分かります

そのうえで、判断に迷う場合は所管の課に聞きます。

垂直の避難を計画に入れる

水害では、外に出るより上の階へ移るほうが安全な場合があります。垂直の避難を、計画に入れます。

そのうえで、上の階まで運べるかを確かめます。階段を使って、何人を何回で運ぶか。

時間もかかります。

早い段階で判断する形になります。

報告と訓練の記録を残す

計画を作ったら、自治体へ報告します。訓練を行ったことも、報告が求められる場合があります。

そのうえで、記録を残します。求められたときに、出せる形にします。

計画も、見直したら報告し直します。

内容が変わったまま報告していないことがあります。

保育の避難訓練を年間で組む

保育の避難訓練は、毎月行うことが求められています。年間の予定として、先に組みます。

  • 毎月の訓練 1か月 基準で求められる
  • 想定を変える周期 3か月 3か月で一巡させる例
  • 午睡中の想定 6か月 年に1回か2回
  • 引き渡しまで行う 12か月 年に1回
訓練の組み方の目安(月数で比較)

毎月行うのが土台です。そのうえで、想定を回していく形にします。

年間の予定表を作る

その月ごとに何の想定で行うかを、年度の初めに決めます。毎月考えると、同じ想定が続きます。

そのうえで、季節も考えます。台風の時期に水害、乾燥する時期に火災。

行事の予定とも、重ならないようにします。

予定表があると、準備もできます。

消火の訓練もあわせて行う

避難だけでなく、消火器を使う訓練も行います。実際に使ったことがない職員がいます。

そのうえで、消防署に依頼する形もあります。使い方を教えてもらえます。

通報の訓練も、あわせて行います。

どこに何を伝えるかを、決めておきます。

地域や消防と連携する

消防署に立ち会ってもらう回を作ります。園の職員では気づかない点を、指摘してもらえます。

外の目が入ると、気づく点が変わります

そのうえで、近隣との連携も考えます。

訓練の記録を保護者にも伝える

どういう訓練を行っているかを、保護者に伝えます。園だよりに、簡単に書く形があります。

そのうえで、家庭でも話題になります。子どもが訓練のことを話すことがあります。

引き渡しの訓練は、保護者にも参加してもらいます。

年に1回は、実際に来てもらう形にします。

訓練の役割を交代する

同じ人が毎回同じ役割だと、他の役割を経験しません。実際の場面では、その人がいないことがあります。

そのうえで、回ごとに役割を変えます。全員が、どの役割もできる形を目指します。

主任や園長が不在の想定も、入れます。

判断する人がいない場面が、実際に起きます。

記録の様式を年に1回見直す

書きにくい欄、使っていない欄が出てきます。年に1回、見直します。

そのうえで、記録を書いている職員から聞きます。使っていない人が直すと、書きにくくなります。

気づいた点を書く欄は、広く取ります。

狭いと、書ける量が限られます。

自治体から様式が示されている場合は、それに合わせます。報告が求められる形になっていることがあります。

そのうえで、園独自の欄を足す形にします。求められる項目を満たしたうえで、必要な欄を加えます。

過去の記録と、形がそろっているかも確かめます。

様式が変わると、比べにくくなります。

保育の避難訓練記録を次につなげる

保育の避難訓練は、記録を残して終わりではありません。気づいた点を計画に戻すと、積み上がります。

  • 気づいた点動けなかった部分
  • 計画の見直しマニュアルに反映
  • 次の訓練同じ点を確かめる
気づいた点を計画に戻し、次の訓練で確かめる

3つが1周すると、訓練が変わります。そのうえで、途中で止まると毎回同じ課題が出ます。

気づいた点を会議で共有する

訓練の後、その場で振り返ります。時間が経つと、細かい部分が薄れます。

そのうえで、参加していない職員にも伝えます。会議の議題にすると、全員に届きます。

子どもの様子も、あわせて共有します。

怖がっていた子ども、動けなかった子ども。

計画とマニュアルに反映する

気づいた点を、計画に書き戻します。記録に書いただけでは、計画は変わりません。

そのうえで、変えた部分を職員に伝えます。計画が変わったことを知らないままだと、動きが分かれます。

避難の経路や、役割の分担。

変える理由も、あわせて伝えます。

次の訓練で同じ点を確かめる

前回できなかった部分が、今回できるようになったか。同じ想定で、もう一度行います。

前回の課題を確かめると、積み上がります

そのうえで、記録に前回の課題を書く欄を作ります。

毎回まったく違う想定にすると、確かめる機会がありません。

同じ想定を2回続ける形も、有効です。

課題が解決したら、次の想定へ進みます。解決していなければ、原因を掘ります。

そのうえで、設備の問題であることもあります。扉が重い、経路が狭い、階段に手すりがない。

その場合は、設備の改善につなげます。

訓練で分かることには、限りもあります。

そのうえで、限りがあることを知ったうえで行います。実際の場面は、想定どおりには進みません。

様式は避難訓練記録テンプレート避難確保計画からダウンロードできます。体制は事故防止・事故発生時対応マニュアルにまとめています。

よくある質問

避難訓練はどのくらいの頻度で行うのですか。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準では、避難と消火の訓練を少なくとも毎月1回行う旨が定められています。毎月同じ想定だと動きが固定されるため、時間帯や災害の種類を変えていく形が広く使われています。

避難確保計画はどの園が作るのですか。

浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある施設は、水防法や土砂災害防止法にもとづいて作成と報告、訓練が求められます。自園が区域に入るかは、自治体のハザードマップと所管の課で確かめる形になります。

訓練の記録には何を残すのですか。

想定と実施の日時、参加した人数、避難にかかった時間を残す形が広く使われています。あわせて、うまく動けなかった部分を残すことが要になります。次の訓練で確かめる材料になります。

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