保育園のヒヤリハット報告書|集める仕組み

公開 2026年9月4日

目次8項目

用紙に「原因」「再発防止策」の欄まで並んでいる。書く側は、そこで手が止まります。

一般には、原因と対策は検討する側が考える部分とされています。報告する人に求めると、書くのに時間がかかります。

とはいえ、欄があると埋めなければならない気になります。報告する欄と検討する欄を分けると、書く側の負担が減ります。

ポイントはここです。保育園のヒヤリハット報告書は、書く欄を減らすことで集まる仕組みになります

ここでは、何を集める記録なのか、書かせる内容、集める工夫、そして環境の見直しへのつなげ方までを順に整理します。

保育園のヒヤリハット報告書とは何を集める記録か

保育園のヒヤリハット報告書は、けがには至らなかった危ない出来事を集める記録です。出来事、場所、どうなりかけたかを残します。

そのうえで、事故になったものとは分けて扱います。書く量も、扱い方も違います。

  • 何があった危なかった出来事
  • どこで場所と遊具
  • どうなりかけた想定された結果
ヒヤリハットは、出来事・場所・想定される結果を集める

3つあれば、対策を考える材料になります。そのうえで、それ以上を求めると集まりません。

事故になる前に手が打てる

けがが起きてから対策すると、すでに1人が痛い思いをしています。危なかった段で気づけば、その前に手が打てます。

危なかった段で手を打つと、事故そのものが減ります

そのうえで、同じ場所で繰り返されているものが見つかります。

職員の目が集まる

1人が気づいたことを、その人だけが知っている状態になりがちです。書いて出すと、園全体で共有されます。

そのうえで、別の職員が同じ場所で気づいていることもあります。数が集まると、そこに問題があると分かります。

見る目が増えると、気づく範囲も広がります。

新しく入った職員は、慣れていない分よく気づきます。

研修の材料になる

外から持ってきた事例より、自園の報告のほうが伝わります。その場所を、全員が知っています。

そのうえで、具体的に想像できます。どの遊具の、どの部分か。

新しく入った職員に伝えるときにも使えます。

過去の報告をまとめておくと、材料になります。

保育園のヒヤリハット報告書に書かせる内容

保育園のヒヤリハット報告書は、事実だけを短く書ける形にします。6つの項目で足ります。

  1. 1 いつ 日付と時間帯
  2. 2 どこで 保育室や園庭
  3. 3 誰が 年齢とクラス
  4. 4 何が起きたか 危なかった出来事
  5. 5 どうなりかけたか 想定された結果
  6. 6 その場の対応 行ったこと
事実だけを6項目で書ける形にする

6つとも、見た人がその場で分かることです。そのうえで、考えないと書けない項目を入れません。

項目書かせる内容気をつけるところ
日付と時間帯いつ起きたか時間帯の傾向が出る
場所保育室・園庭・廊下選択式にする
対象年齢とクラス名前は必要な場合だけ
出来事何が起きたか事実だけを書く
想定された結果どうなりかけたか重さの判断に使う
その場の対応行ったこと短く1行
原因検討する側が書く報告者に書かせない
対策検討する側が書く担当と期限を付ける

下の2つは、報告する側の欄ではありません。そのうえで、用紙の上でも分けて置きます。

事実だけを書かせる

「注意が足りなかった」は、事実ではなく評価です。何がどうなったかを、そのまま書きます。

そのうえで、評価を書く欄を作らないようにします。欄があると、書かなければならない気になります。

事実だけなら、数行で済みます。

書く時間が短いほど、出てきます。

場所を選択式にする

自由に書かせると、表現がばらつきます。「園庭」「外」「庭」が同じ場所を指します。

そのうえで、集計するときに困ります。選択式にしておくと、そのまま数えられます。

園の中の場所を、あらかじめ並べておきます。

その他の欄も、残しておきます。

名前を書く欄の扱いを決める

子どもの名前を書くかどうか、報告した人の名前を書くかどうか。決めていないと、書く側が迷います。

名前の扱いを決めておくと、書く側が迷いません

そのうえで、名前が要る場面と要らない場面を分けます。

保育園のヒヤリハット報告書を集める工夫

保育園のヒヤリハット報告書が集まらないのは、書く側の意識の問題ではありません。仕組みの側に、集まらない理由があります。

  • 責めない扱いにする 5いちばん効く
  • 書く欄を減らす 5数分で書ける
  • 対策が実際に打たれる 5書く意味が見える
  • 用紙を保育室に置く 2その場で書ける
  • 件数を評価に使わない 2質が落ちない
集める工夫と、効きやすさの目安

上の3つが、特に大きく効きます。そのうえで、どれか1つでは足りません。

報告した人を責めない

報告すると自分の落ち度として扱われるなら、出しません。黙っていたほうが、その人にとって安全になります。

そのうえで、報告した人を責めない扱いを明確にします。言葉だけでなく、実際の場面で示します。

責める場面が1回あると、その後は出なくなります。

出てこなくなったら、この点を確かめます。

件数を評価に使わない

「今月は何件出た」を目標にすると、数だけが増えます。中身の薄い報告が並びます。

件数を評価に使うと、報告そのものが消えます

そのうえで、クラスごとに件数を比べる形も避けます。多いクラスが問題があるように見えます。

実際は、よく見ているクラスほど多くなります。

用紙を保育室に置く

事務所まで取りに行く形だと、後回しになります。保育室に置いておきます。

そのうえで、書く道具も一緒に置きます。探す時間があると、書かれません。

出す場所も、近くに作ります。

箱を置く形が、いちばん簡単です。

保育園のヒヤリハットから対策を選ぶ

保育園のヒヤリハットは、集めた後の選び方が要ります。すべてに同じ手をかけると、続きません。

  1. 想定された結果が重いか はい先に対策する いいえ次へ
  2. 同じ場所で繰り返しているか はい先に対策する いいえ次へ
  3. 他の場所でも起きうるか はい横に広げて対策する いいえ次へ
  4. すぐ直せることか はいその場で直す いいえ記録に残して待つ

重さと繰り返しで先に選び、すぐ直せることはその場で直す

対策を選ぶ順序

上の2つで、先に手を打つものが決まります。そのうえで、残りは順に進めます。

重さで先に選ぶ

同じ「転びかけた」でも、場所によって結果が違います。階段の上と、園庭の平らな場所。

そのうえで、どうなりかけたかで判断します。出来事の名前ではなく、想定される結果で見ます。

重いものから、順に手を打ちます。

用紙に、重さを書く欄を作る形もあります。

繰り返しを数える

1件では偶然に見えることが、何件も出ていることがあります。場所ごとに数えると、分かります。

そのうえで、同じ場所で3件出たら見に行く形にします。数の基準を決めておくと、判断が早くなります。

繰り返しているものは、環境に原因があります。

人の注意では、防ぎきれません。

すぐ直せることはその場で直す

会議を待たずに直せることがあります。物を移す、片づける、表示を付ける。

その場で直せることを先に直すと、報告が続きます

そのうえで、直したことを報告した人に伝えます。

保育園のヒヤリハット報告書と事故報告書の使い分け

保育園では、ヒヤリハット報告書と事故報告書を分けて持ちます。けがに至ったかどうかで、書く量が変わります。

ヒヤリハット報告書

  • けがに至らなかった
  • 短く事実だけ
  • 園内で使う
  • 傾向で対策する

事故報告書

  • けがや事故になった
  • 経過と対応を詳しく
  • 保護者に説明する
  • 自治体への報告も
至らなかったものと、起きたもので書く量が変わる

左は短く、数を集めます。そのうえで、右は1件ずつ詳しく残します。

境目を園で決めておく

小さな傷でも、けがはけがです。どこからを事故報告書にするかを、決めておきます。

境目を決めておくと、書く側が迷いません

そのうえで、迷ったら重いほうで扱う形にします。

事故になったものは詳しく残す

けがが起きたときは、経過と対応を詳しく残します。保護者への説明にも使います。

そのうえで、自治体への報告が要る場合もあります。求められる範囲を、確かめておきます。

書く様式も、あらかじめ用意しておきます。

その場で作ると、抜けが出ます。

両方をまとめて傾向を見る

ヒヤリハットと事故を、別々に見ていると全体が見えません。同じ場所で、両方が出ていることがあります。

そのうえで、まとめて場所ごとに数えます。危ない場所が、はっきりします。

月ごとに集計する形にします。

事故が起きた場所には、その前にヒヤリハットが出ていることがあります。

保育園のヒヤリハットを分類して数える

保育園のヒヤリハットは、分類して数えると対策が見えます。いくつかの軸で分けられます。

  • 場所 12 保育室や園庭
  • 種類 8 転落や誤飲など
  • 時間帯 6 受け入れや午睡
  • 年齢 4 クラスごと
分類の軸と、手がかりになりやすさ(相対的な比較)

いちばん上が、手がかりになりやすい軸です。そのうえで、複数の軸で見ると原因が絞れます。

場所で分けて数える

同じ場所に集まっていることが、よくあります。その場所を見に行くと、原因が見つかります。

そのうえで、時間帯とあわせて見ます。特定の時間だけ危ない場所があります。

日が差す時間、人が集まる時間。

場所を選択式にしておくと、この集計ができます。

時間帯で分けて数える

受け入れ、午睡の前後、夕方。特定の時間帯に集まることがあります。

そのうえで、その時間帯の職員の配置を確かめます。人が少ない、他の作業が重なっている。

配置を変えると、減ることがあります。

時間帯の欄を、選択式にしておきます。

種類で分けて数える

転落、転倒、誤飲、はさむ、ぶつかる。種類ごとに数えると、対策が変わります。

種類で分けて数えると、対策が絞れます

そのうえで、種類も選択式にしておきます。

保育園のヒヤリハットを環境の見直しにつなげる

保育園のヒヤリハットの対策は、環境を変える形が続きます。注意を促すだけでは、時間とともに戻ります。

  • 物を変える 5危ない物をなくす
  • 配置を変える 5動線と死角
  • 手順を変える 4順序や担当
  • 人を増やす 3配置で対応
  • 注意を促す 1長く続かない
対策の種類と、続きやすさの目安

上に行くほど、人に頼らない対策になります。そのうえで、いちばん下は続きません。

危ない物をなくす

角のある家具、小さい部品、ひも。物そのものをなくせば、危険も消えます。

そのうえで、代わりの物を用意します。なくすだけだと、必要な機能まで失われます。

覆いを付ける形もあります。

固定して動かないようにする方法もあります。

死角をなくす配置にする

棚や仕切りで、見えない場所ができます。そこで起きたことは、気づけません。

そのうえで、部屋の中を見渡せる配置にします。背の高い家具を、減らします。

死角がどこにあるかは、座ってみると分かります。

子どもの目の高さでも、確かめます。

手順と担当を変える

同じ時間に複数のことが重なると、手が回りません。順序を変えると、分散します。

そのうえで、担当を決め直す形もあります。誰がどこを見るかを、はっきりさせます。

受け入れの時間帯は、特に重なります。

保護者との対応と、子どもを見ることが同時になります。

直せない部分は分けて持つ

設備の改修が要るもの、予算が要るもの。すぐには直せない部分があります。

そのうえで、直せないものは別の一覧に持ちます。記録に残して、当面の対応を決めます。

年度の計画に入れる形もあります。

放置と、待って対応するのは違います。

見て回る機会を作る

報告を待つだけでなく、こちらから見に行きます。月に1回、園内を見て回ります。

そのうえで、複数の目で見ます。1人だと、見慣れた場所は見過ごします。

他のクラスの職員が見ると、気づく点が変わります。

チェックの表を作っておくと、見る場所がそろいます。

保育園のヒヤリハット報告書を続く仕組みにする

保育園のヒヤリハット報告書は、出して終わりにしないことが要ります。結果を返すところまでが、1つの流れになります。

  1. 1 報告が出る 用紙に書く
  2. 2 受け取る 担当が集める
  3. 3 検討する 会議か日々の場で
  4. 4 対策を打つ 担当と期限
  5. 5 結果を返す 掲示か会議で
  6. 6 傾向を見る 月ごとに数える
報告から結果を返すところまでを1つの流れにする

5番目の返す部分が、いちばん抜けます。そのうえで、そこが抜けると報告が止まります。

結果を掲示して返す

出した報告がどうなったかが分からないと、次を出しません。何を直したかを、掲示します。

そのうえで、まだ直せていないものも書きます。いつまでに、何をするか。

検討中のままにしないようにします。

見えていれば、進んでいることが分かります。

会議で扱う時間を決める

議題に入れていないと、後回しになります。毎回、時間を取ります。

そのうえで、全件を扱う必要はありません。重いものと、繰り返しているものに絞ります。

短い時間でも、続けることが大事になります。

月に1回でも、扱う場があると変わります。

研修の題材に使う

外の事例より、自園の報告のほうが伝わります。場所も状況も、全員が知っています。

自園の報告を題材に使うと、危険が具体的に伝わります

そのうえで、個人が特定される形は避けます。場所と出来事だけにします。

新しく入った職員には、過去の報告をまとめて渡す形もあります。

どこが危ないかが、先に分かります。

様式はヒヤリハット報告書テンプレートからダウンロードできます。事故になった場合は事故報告書、体制は事故防止・事故発生時対応マニュアルにまとめています。

よくある質問

ヒヤリハットと事故報告書はどう分けるのですか。

けがに至らなかったものをヒヤリハット、けがや事故になったものを事故報告書とする形が広く使われています。境目を園で決めておくと迷いません。すり傷程度をどちらに入れるかは、園によって扱いが変わります。

報告が出てこない場合はどうすればよいですか。

書く欄を減らし、原因や対策を書かせない形にすると出やすくなります。報告した人を責めない扱いにすることと、件数を評価に使わないことが要になります。出た報告に対策が打たれると、次の報告が上がります。

集めた報告はどう使うのですか。

場所と種類で分類して数える形が扱いやすくなります。同じ場所で繰り返している危険が見えると、環境の見直しにつながります。職員の会議や研修の題材としても使えます。

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